【おいしい日本 美味・安心の追求】京の湯豆腐(産経新聞)

 □お店 わら(京都市北区)

 ■“隠れ家”で心もほっこり

 今日は人日(じんじつ)の節句。七草かゆを食べると、病気にかからず長生きするというが、湯豆腐もヘルシーで体にやさしい。

 湯豆腐といえば、京都だ。山と自然に囲まれ、良質な水がわき出て、美味な豆腐ができる。数多くある寺では精進料理として使用したため、味の改良がすすんだ。南禅寺や嵯峨野は湯豆腐のメッカとして知られるが、金閣寺に近い北区衣笠の住宅街に隠れ家的割烹(かっぽう)がある。近くに安産に御利益がある「わら天神」(京都市北区衣笠天神森町)があり、店名を「わら」という。40年前から民家を改造して川口治夫さんと妻の富子さんが切り盛りする玄関に入ると、知人宅に招かれたようにくつろげる。

 「ひととおり」を注文すると、まず、自家製「ごま豆腐」をワサビとサンショウでいただく。「とろろ」はうずらのタマゴを落としている。

 メーンの「湯豆腐」は、あらかじめ特製土鍋にアルカリ水と北海道の利尻コンブを入れて沸かせ、北野天神近くの山本豆腐店で仕入れた、やわらかく、のど越しのよい木綿豆腐、白菜、三つ葉、ユズを温めたのが出る。特製の卓上コンロでさらに温めるのだが、あまり火を通しすぎずに、カツオとコンブのダシにしょうゆを合わせた秘伝の濃いめのタレにつけて食べるのがポイント。「豆腐を炊きすぎると、鬆(す)が入って(できて)しまう」(富子さん)ためだ。鍋から湯気が上がり、沸騰する直前、取り出して口に運ぶと、とろけるような固さの中になめらかな大豆の甘さが感じられる。あつあつの豆腐は、ほっこり身も心も温めてくれる。

 このほか8種類(にんじん、かぼちゃ、さつまいも、のり、れんこん、しいたけ、ゆば、アオトウガラシ)の精進揚げ。そして酒とショウガで炊いたショウガごはんを漬物でいただく。ヘルシーだが、ボリュームたっぷりだ。

 中国で生まれた豆腐が初めて日本に入ってきたのは奈良時代で、遣唐使が持ち込んだといわれている。禅寺の精進料理として洗練される中、油たっぷりの中国とは異なり、あっさり味の豆腐料理が広がった。その過程で湯豆腐も生まれたとみられる。

 大豆をすりつぶす手間がかかっていたが、室町時代に石臼の普及で量産が可能になり、全国に浸透。江戸時代に入ると、庶民の味となり、社寺の門前に精進料理を参拝者に出す店が増えた。今や、日本人の約8割が週に1度は食べるといわれる豆腐は、中国生まれの日本文化そのものかもしれない。

 わらのレシピは、もともと川口さんの母親が高台寺(京都市東山区)の塔頭(たっちゅう)、月真院(げっしんいん)で十数年間、精進料理として出していたものを引き継いでいる。月真院といえば、幕末、新選組参謀、伊東甲子太郎(いとうかしたろう)とその一派が勇らとたもとを分かち、勤王倒幕の御陵衛士(ごりようえじ)として屯所を構えたところ。知る人ぞ知る名店として、全国から常連客が訪れるのも、こういう由緒と無縁ではない。富子さんは胸を張った。

 「住宅街の店まで、来ていただけるようにお客様の期待を裏切らないように伝統を守っていきたいですね」(文 岡部伸)

                   ◇

 【わら】京都市北区衣笠総門町13の3▽TEL075・461・5386▽営業時間 12時〜21時(予約が望ましい)▽水曜日定休▽湯豆腐980円、ごま豆腐480円、とろろ480円、精進揚げ880円、ショウガごはん430円、ひととおり3250円

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